<前編>ニャンコ救出大作戦(ブログ)
<後編> ニャンコの気持ち
北島に取り残されネコの救出活動に全力を尽くす「ニャンコ助け隊長」に、
思わぬ試練が…、
「隊長! 大変です」
「なんだ。 朝っぱらから騒々しいな」
「北島のニャンコが文句言ってます」
「なんだと、ネコの分際で口をきくとは生意気な」
「メールが来たんです」
「なに! ニャンコが携帯?」
「パソコンです。プリントアウトして持ってきました」
「よ〜し、読め」
ニャンコからメールというのも、おかしいかもしれない。しかし、これはフィクションである。 こういう考えも成り立つと思う。 先日病院で内視鏡検査をした。カメラは確かに私の腹に入ったが、操作は外にいる医者がしていた。
ニャンコは確かに地球上にいるが、ニャンコを操作する宇宙人がいるかも知れない。 メールの送信くらい簡単にできるだろう。 私がメールを受けたのは事実。 それには「北島のニャンコ」と署名があった。
「北島のニャンコより、 私たちを助けるという迷惑な救出隊長に告ぐ!
大和市武蔵公園に捨てられた私たちは、池の北島に生活の場を見付けた。 北国の厳しい冬を越せたのも、島の大木の洞と餌になるドブネズミのお陰だ。
最近は猫好きのおばちゃん達の食料の支援も受けて、快適とはいえないけれど、なんとか子猫を産み育てるようにもなった。
ところが、ニャンコ救出隊という有難迷惑な人間たちが現われて、我々を北島から追い出す行動に出ている。 我々にとって北島は苦心して見付けた生活の場である。
人間が我々を飼うなどの、生活保障なしに、救出などという追い出し行動をしないでほしい。
我々は泳ぎは好きではないけれど、泳げないわけではない。 北島を脱出したければ、子猫も大きくなった事だし、いつでも実行出来る。
最近は対岸から餌を投げ込んでくれる人もいて、北島には餌を包むビニール袋が散乱してゴミの島みたいになっている。
捨てられた我々は、静かに細々と暮らしている。 憐れんで支援してくれる気持ちはうれしいが、これ以上騒ぎ立てて暮らしにくくして欲しくないものだ。
そのうちに行政が我々を捕獲しに来るかも知れない。 恐怖さえ感じるようになってしまった」(「中島パフェ」掲示板より転載、投稿:北島のニャンコ)

以上の論点を整理し、対立点などを書き出すと次の通り。
現状認識
隊長:ネコは意思に反して北島に閉じ込められた。
ネコ:新天地を求めて北島に渡って来たのだ。
食料
隊長:北島にネコ2匹分の食料はないので、いずれ餓死する。
ネコ:好物のドブネズミを食べている。おばちゃんたちの食料支援も届いている。
住居
隊長:ダンボールが必要。
ネコ:大木の洞で越冬し、子育てもした。心配無用である。
救出活動
隊長:飢餓の北島より救出することがネコたちを救う唯一の道。
ネコ:隊長は生活の場である北島から、私たちを追い出そうとしている。
生活保障
隊長:緊急の課題は、ネコを飢餓の北島より救出すること。
ネコ:飼い主を確保するなど、生活保障とセットでなければ島を出ない。
泳げるか?
隊長:ネコは泳げない。島に取り残された。
ネコ:好きではないが、泳げる。 北島を脱出したければ、いつでも出来る。子猫も大きくなっている。
エサ投げ作戦
隊長:とりあえずの、食料補給。命のエサだ。
ネコ:ビニールが散乱し、北島がゴミの島になってしまった。
ニャンコ救出支援要請
隊長:ネコ救出の為には多くのボランティアの支援が必要。
ネコ:人に知られれば知られるほど、暮らし難くなっている。 行政に知られたら、捕獲にくるのではないかと、恐怖を感じている。
<以上、論点・対立点>
隊長とニャンコの意見が真っ向から対立している。 騒ぎ立てて世間の注目を浴びれば、行政に知られ捕獲されるというニャンコの気持ちは分かる。
しかし、広く世間に知られたため、飼い主が見つかったり、処分されなかったりする例も多い。 情報公開した方が生きる可能性が高くなるのではないだろうか。
結果として、北島のニャンコたちはどうなっただろうか? 次回<解決編>をお楽しみに。